機能性表示食品の届出は販売予定日の60日前まで

自社の食品に機能性を表示したい場合には、事業者の責任で機能性表示食品として届出を行う必要があります。国が求める資料の提出が必要となりますが、特定保健用食品とは異なり表示されている効果や安全性を国が審査し許可しているわけではありません。

機能性表示食品の届出の意味や、届出の方法などについてご紹介します。

(機能性表示食品の原材料について知っておきたい5つのポイント)

機能性表示食品とは

平成27年にできた機能性表示食品制度は、消費者が食品の機能を知って正しく選べるようにする目的で作られました。機能性表示とは「おなかの調子を整える」などのような、消費者に食品の機能性を伝えるための記載のことです。

これまで機能性を表示できる保健機能食品には特定保健用食品と栄養機能食品がありましたが、これらと機能性表示食品の違いの1つは機能性表示食品は届出制だということです。消費者庁長官への届出に際して、国は個別の食品ごとに安全性や機能性の審査は行っていません。

消費者庁による届出資料の確認で問題がなければ、届出は受理されます。事業者の責任で機能性に関する届出が行われ受理されると、届出内容が消費者庁のウェブサイトで公開され消費者が自由に閲覧できるようになります。

機能性表示食品のパッケージには、「機能性表示食品」の記載や届出番号、届出表示など表示が義務付けられた項目が書かれています。対象となる食品が生鮮食品にまで及んでいるのが、この制度の大きな特徴です。しかし生鮮食品の性質上、品質の安定性が保てなかったり機能性の表示が難しかったりして、機能性表示食品の多くをサプリメント形状の加工食品が占めています。

届出の概要

届出については消費者庁が「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」と、「機能性表示食品制度届出データベース届出マニュアル」を公開しています。機能性表示食品の届出をする際は届出書を必要な資料と一緒に、販売予定日の60日前までに消費者庁長官に届け出なければなりません。

届出に必要な資料は食品に関する表示内容と販売する事業者の連絡先などの基本情報、安全性と機能性の根拠に関する情報です。生産・製造、品質管理と、健康被害の情報・収集体制に関する情報も必要になります。

届出の流れ

食品を機能性表示食品として届け出る場合には、まず消費者庁が出しているガイドラインやマニュアルなどを確認します。届け出ようとする食品が対象となっている場合は消費者庁に事業者の基本情報を届け出て、ユーザーIDを取得する必要があります。

届出はすべて、このIDを使って「機能性表示食品制度届出データベース」で行います。記入漏れなどの不備があれば「差戻しメール」が届くので、内容を確認して修正します。届出資料の変更をする場合は変更届が、食品の販売が終了した場合は撤回届が必要です。

機能性表示食品の対象外になる食品とは

機能性表示食品は、生鮮食品までほとんどの食品が対象です。しかし基本的な事項として病気や妊娠・授乳などをしていない、健康な成人を対象とした食品を前提としています。機能性関与成分が明確でない食品は対象外で、厚生労働大臣が定める食事摂取基準で基準が定められている栄養素を機能性関与成分とすることはできません。

特別用途食品とアルコールを含む飲料も、機能性表示食品の対象外です。特別用途食品とは、病気の人や妊婦・乳児などに対して発育や健康の保持・回復などの特別な用途の表示を消費者庁長官が許可している食品です。脂質や糖類、ナトリウムなどの過剰摂取につながる食品も届出ができません。

届出の準備

機能性表示食品の届出では、安全性や機能性の根拠を明確にしなければなりません。安全性の根拠を示すには、3つの方法が認められています。これまでその食品が安全に食べられ続けてきたという食経験の評価と、データベースなどの2次情報などを使った情報収集、最終製品か機能性関与成分を使った安全性試験です。

他の機能性表示食品と一緒に摂取することを考えた機能性関与成分の相互作用の評価や、機能性関与成分と医薬品の相互作用の評価を行い、相互作用が認められた場合は販売の適切性を科学的に説明する必要があります。複数の機能性関与成分を含んでいる場合も同様です。

機能性の根拠を明確にするには最終製品を使った特定保健用食品と同水準の臨床試験か、最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューが認められています。現実的には多くの機能性表示食品の機能性の根拠は研究レビューによって担保されており、断定せず「〇〇の機能があると報告されています」などのような表示になっています。

食品を扱っているので生産や製造における衛生管理や品質管理の安全性の確保ができる体制は整っているはずですが、届け出る際はこれを説明しなければなりません。健康被害の情報収集をする体制を整える必要もあります。

届出時だけでなく、食品の販売後も情報の収集をし続けることが必要です。容器包装の表示が適正であることも届出の条件となっているため、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいてパッケージデザインをしておくことになります。

届出の注意点

機能性表示食品の届出は「販売日の60日前まで」となっているため、起算日は届出日の翌日になります。記載漏れなどの形式上の不備があると、必要に応じて修正し再提出となります。その際は、再提出の翌日から60日後が対象の食品を機能性表示食品として販売できる日になります。

機能性の表示には「診断」や「処置」などの医学的な表現や、「美白」「増毛」といった意図的な健康の増強を謳う表現が禁止されています。治療や予防の効果を暗示したり、特定の病気の患者に向けたりする表示もできません。

食品表示法の食品表示基準に基づかない表示は同法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。消費者庁に届け出た科学的根拠情報を超えた表現は不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の不当表示や、健康増進法の虚偽誇大広告に該当する場合があります。

機能性表示食品の届出をすれば消費者に食品の情報を正しく伝えられます

栄養補助食品や健康補助食品などの一般食品では、機能性の表示をすることができません。その場合、消費者が得られるのは食品表示法に基づく表示項目だけとなり、食品にどのような機能があるのかを知ることができないので購入の決め手に欠けます。

機能性表示食品の届出をすることで自社の製品を知ってもらうことができ、一定レベルの信用を得ることが可能です。